2024年7月9日火曜日

追悼 舟越桂さん6

 

依り代になる樹木はクスに限りませんが、依り代として最も重要な樹木はクスでした。常緑樹であることに加えて、すぐれた香気や長い樹齢も太古の人々から尊崇を集めたことでしょう。実をいうと、槿域のもとになった中国の木彫像についても知る必要がありますが、ご存じのように、中国古代彫刻の遺品は石像や塑像、金銅像ばかりですから、諦めるしか仕方ありません。

仏像を神の依り代であるクスで作ることに、垂迹思想の原点を探りたい誘惑にさえかられます。もっとも、仏教誕生の地インドでは、仏像の用材として古来白檀などの檀木が珍重されてきたことから、その代用としてクスが選ばれたという見解もあります。弘法大師が唐から将来した仏龕、いわゆる枕本尊が檀材であることを考えれば、インドを無視することはでません。


0 件のコメント:

コメントを投稿

山種美術館「桜さくらSAKURA2025」4

人はだれしもこの幸福な島国で、春、とくに桜の季節を京都や東京で過ごすべきだ。その季節には、思い思いに着飾った人々が、手に手をたずさえ桜花が咲き乱れる上野公園をはじめ、すべての桜の名所に出掛けてゆく。彼らはその際、詩作にふけり、自然の美と景観を賛美する。……世界のどの土地で、桜の季...