2024年6月28日金曜日

河治和香『どぜう大明神 昔ばなし」4

僕は「昔のどぜう屋は裸天国」の章をよみながら、以前「朝日歌壇」に載った名吟「徘徊にあらず昭和はステテコで煙草を買いに来る人がいた」を思い出したりしていました。

『どぜう大明神 昔ばなし』を紹介させてもらったわけはもう一つあります。前回アップした太田記念美術館「国芳の団扇絵」のトピックが、いくつも登場するからなんです。駒形どぜうでは毎年71日から3日の3日間、「団扇出し」といって、ご来店のお客衆に丸亀の団扇屋に特別注文した団扇をプレゼントしているそうです。しかもこれは江戸時代から始まったとのこと、じつに嚆矢こうしは国芳団扇絵流行の時代だったんです!! 

そのとき『断腸亭日乗』を引用しましたが、著者・永井荷風も駒形どぜうの大ファンだったとのことです。しかも好きな席が決まっていて、ほかの客がその席にいると、別の席が空いていてもその客が帰るまで、180センチもある荷風が入口のところでボォーと突っ立って待っていたというのです。荷風を髣髴とさせて、じつに愉快じゃ~ありませんか。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿

出光美術館(門司)「琳派の系譜」8

この二つの松は、『万葉集』『古今和歌集』の二集にたとえられ、松の葉の栄えは和歌の言の葉の栄えを意味し、つまりは天下泰平の象徴だというのである。 老人はなお松の徳をさまざまに物語り( クセ )、自分たちこそその松の精だと名を明かし、先に住吉へ行って待っていると言い残して小舟で 沖 ...