以前アップした諸橋轍次博士の『止軒詩艸』に、「岳州懐古」というとてもいい七言律詩が採られています。明らかに博士は杜甫の「岳陽楼に登る」からインスピレーションを得ているので、あえて「杜甫 慕い」と加えてみました。
ついに来ました杜甫 慕い いま上らんとす岳陽楼
すぐれた遺跡も千歳ちとせ経て 昔とまったく違ってる
日は落ち青き霞 立ち 渚に遊ぶ鴨かもと雁かり
風は清らか秋 来れば 荻おぎ蘆あし砂洲に茂ってる
美人の悲しみ 君山の 娥皇・女英のマダラダケ
詩人・屈原その愁い 汨羅べきらの水の波 寒し
あまりに寂しきこの天地 どこに見所 探すべし
沈む夕日をかすめ巣に 帰る鴉からすの影 遠し
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