2023年12月2日土曜日

根津美術館「北宋書画精華」3

李公麟は西域から北宋皇帝に献じられた「汗血馬」を凝視し、写生し、浄写したのでしょう。しかし僕は、かの兵馬俑や、唐三彩や、章懐太子墓壁画の馬を思い出さずにはいられませんでした。「五馬図巻」が描かれたのは1090年ごろだそうですが、それよりずっと早く、馬の造形は完成の域に達していました。

そしてバージョンアップが重ねられてきました。このような馬の造形における、中国の長くすぐれた歴史を無視することはできないでしょう。李公麟といえども、その子孫の一人なんだと思います。それを知ることによって、李公麟の天才ぶりも、「五馬図巻」の素晴らしさも、いよいよ際立つことになるんじゃ~ないでしょうか。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿

皇居三の丸尚蔵館「近世の御所を飾った品々」6

 友松は晩年、桂宮家を創始した智仁 ともひと 親王のもとにしばしば出入りし、押絵の注文などを受けていたことが、記録から明らかになっているからです。畏友・河合正朝さんの『友松・等顔』<日本美術絵画全集 11 >(集英社  1978 年)によると、桂宮淑子 すみこ 関係の記録にある「...