かつて棟方志功という版画家を僕に教えてくれたのは、谷崎潤一郎の小説でした。というわけで「僕の一点」は「鍵板画柵」ということになります。デビュー作ともいうべき「大和し美うるわし」に象徴されるように、棟方はすぐれた挿絵画家でもありました。
「大和し美し」といえば、昭和11年(1973)第11回国画会展に出品されたこの版画絵巻を柳宗悦が見て、民芸派との親交が生まれたという記念碑的作品です。よく棟方は柳の思想を取り入れたとか、さらには保田與重郎の影響を受けたとかいわれますが、実際は逆だったことが分かります。
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