古くから日本美術では、虫は重要なモチーフでした。現代において昆虫と分類されるものだけでなく、蜘蛛や蛙、蛇などのうごめく小さな生き物たちも虫として親しまれ、物語や和歌、様々な美術作品に登場します。……また、草花や虫を描き吉祥を表わす草虫図が中国からもたらされ、中世から長く日本で珍重されてきました。江戸時代に入ってからは、本草学の進展と博物学的精神の萌芽によって、多彩な虫の絵が生み出されます。……日本の虫めづる文化は、長きにわたって育まれてきましたが、大衆化が進んだ江戸時代をひとつのピークとすることが出来るでしょう。そこで、本展では主にこの時代に焦点をあて、虫と人との親密な関係を改めて見つめ直します。
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