2023年5月4日木曜日

静嘉堂@丸の内「明治美術狂想曲」12


 この屏風における菊の寓意――それはこれを紋章とする天皇・皇室だったように思われてなりません。幽谷は菊と鶏を組み合せ、これを敬う国民とその家庭の平和を祈念したのではないでしょうか。

これこそ内国勧業博覧会の趣旨である、殖産興業の根底をなす重要なエレメントだったはずです。天皇・皇室のもと各家庭の安寧なくして、殖産興業が成功するはずもありません。幽谷がそう考えたかどうかは分かりませんが、饒舌館長はこんな風に妄想したんです。

もっとも、菊といえば誰だって菊慈童が飲んで不老長寿になった川の水から「菊正宗」や、彌之助が愛飲したかもしれない「土佐菊水」を思い出します。鶏からはソクうまい焼き鳥――両方あわせれば小奇麗な居酒屋のイメージだなんていう呑み助がいるかもしれませんが……()

0 件のコメント:

コメントを投稿

皇居三の丸尚蔵館「近世の御所を飾った品々」7

  もっとも慶長 6 年といえば、友松が桂宮家に出入りし始めたころですから、挨拶代わりの自己紹介、ブッチャケていえば売り込み作戦だったかもしれませんが、これは友松のために言わないほうがよかったかな ( 笑 ) 当時智仁親王は弱冠 22 歳、千年の齢を保ちつねに緑を失わないトキ...