円山応挙中年期の花鳥画は銭舜挙に倣っている。山水人物画は唐寅を学んで描写力を高めている。土井氏が所蔵する「前赤壁遊図」も唐寅に由来する。いわゆる「入室操戈にゅうしつそうか」――奥義に達してそれを自由に使いこなすというものであろうか。観終わってこれを箱に書いたところである。
正木先生は「前赤壁」としていますが、やはり「後赤壁」の可能性が高いかな? 当時この「赤壁図」を所蔵していたK氏は、大変真摯な古美術商の方で、この作品についてもよく研究されていました。そして箱書きにある「土井氏」とは古河藩主と推定されること、『故宮書画簡輯 唐寅』(台北故宮博物院発行 1980年)にやや似た唐寅の扇面画が載っていることを教えてくださいました。
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