2021年11月12日金曜日

三菱一号館美術館「印象派」8


いずれにせよ、ティツィアーノやコローの場合には、多かれ少なかれ、写実的描写と深く結びついていましたが、東洋の指墨や指頭画においては、むしろ写実から――東洋画論の言葉を使えば「形似」から距離を置くことが目指されていたように思います。じつに興味深いことじゃ~ありませんか!! 

 ブッチャケをいえば、このような美術史的伝統や意義なんかはどうでもよく、単にコローが大好きなんです。あの「銀灰色」とたたえられる色調のうちに生み出される風景画――本当の自然のように見えながら、実はきわめてイリュージョニスティックなコローの風景画に対して、どのようなオマージュを捧げればよいのでしょうか。

コローはフランス・バルビゾン派の画家ですから、フランス人が大好きであることは言うもでもありません。しかし、それ以上にアメリカ人が愛して止まないそうですね。だからこそ、高階秀爾さんから教えてもらったあのジョークが生まれたのでしょう。

「コローの真筆は3000点ある。そのうちの5000点がアメリカにある‼」

 

 

0 件のコメント:

コメントを投稿

出光美術館「復刻 開館記念展」1

  出光美術館「出光美術館の軌跡 ここから、さきへⅠ 復刻 開館記念展  仙厓・古唐津・ 中国                           陶磁・オリエント」< 5 月 19 日まで>  いよいよシリーズ企画展「出光美術館の軌跡 ここから、さきへ」の第 1 回「復刻 ...