2021年8月6日金曜日

徐寅・夏の詩14

 

 徐寅は中国の文人ですから、また先の詩からも明らかなように、お酒が大好きで、チャンと「酒を勧む」という素晴らしい七言律詩を遺しています。わが国でもっとも人口に膾炙する「勧酒」という漢詩は、何といっても井伏鱒二の名訳で知られる于武陵でしょうが、徐寅のも心に沁みますねぇ!!

徐寅「勧酒」

 豪華な酒樽 高価なる 大杯なんているもんか!!

 百壷の酒を清らかに 君と一緒に飲み干そう

 体は木々とおんなじで 年々歳々老いてゆき

 俗事は浮世に生きていりゃ 日々避けることできやせぬ

 春秋戦国 英雄は 意味なく興亡くりかえし

 その墓に立つ松の木が むなしい歴史を語るだけ

 酔いの至福は人間の 規範と天地の違いあり

 世間を気にして立身に 身を削るなど馬鹿げてる

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