2021年6月28日月曜日

徐寅・夏の詩1

徐寅は中国のちょっとマイナーな詩人です。愛用する近藤春雄編『中国学芸大事典』にも登場しないんですから。もちろん『諸橋大漢和辞典』には出ていて、次のごとき簡単な説明が加えられています。

五代閩の甫田の人。一に徐夤に作る。字は昭夢。唐の乾寧の進士。王審知に辟されたが礼遇されず、衣を払って去り、妻の月氏と偕に隠遁した。著に探龍釣磯等集がある。

 「五代閩の甫田の人」とありますが、唐の乾寧皇帝のとき進士に合格したわけですから、唐末五代の詩人というのも悪くありません。閩というのは今の福建省であり、そこに誕生した国です。王審知は、五代の後梁からここに派遣され、十国の一つとなる閩を建国した人だそうです。徐寅はこの王審知に取り立てられたものの、やがて冷遇されるようになったため、職を辞して隠棲したわけですが、<奥さんと一緒に>というのが、じつに素晴らしいじゃ~ありませんか。


0 件のコメント:

コメントを投稿