先の館長講演は「出会い旅立ち別れの情――日中絵画の流れから――」と題しましたが、そのとき取り上げた優品に、わが静嘉堂文庫美術館が所蔵する中山高陽筆「渓山清興図」があります。自作自賛の七言絶句がとても素晴らしい――とくに酒仙館長にとっては(笑) またまた戯訳で紹介することにしましょう。
破れた窓にボロ机 もの寂しいなぁ!!我が書斎
眠りから覚めチョットだけ 描いてみたのさ山水を
乱れた筆ゆえ他の人が 一顧せずとも構わない
しかし一杯やってから 見れば興趣もぐっと増す
しかし渡辺浩さんは、先行研究が指摘した二つの点について、高橋博巳さんの見解が示されていないことが、やや残念だとしています。その先行研究というのは、大森映子さんの『お家相続 大名家の苦闘』(角川選書)と島尾新さんの『水墨画入門』(岩波新書)です。 僕も読んだ『お家相続 大名家の苦闘...
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