長い間、黒田は古典主義と印象派を折衷した外光派アカデミズムを我が国へもたらした画家であり、その決定的要因として、ラファエル・コランとの偶然ともいうべき邂逅があげられてきた。これに対して高階秀爾氏は、まったく新しい黒田像を描き出した。黒田の意図した西欧的構想画は、日本の精神的風土ゆえ、ついに根づかなかったというのである。
それを認めた上でなお、私は黒田の折衷的な外光派アカデミズムやスケッチ画を積極的に評価したい誘惑に駆られる。それこそ東洋的写実主義であり、日本的洋画だと考えるからである。
僕は10月17日が、 杉田玄白とともに『解体新書』を翻訳出版した 蘭化前野良沢の 祥月命日でもあることからスピーチを始めました。もちろん高階先生が『解体新書』を「江戸のなかの近代」として 最重要視され 、出版220周年の1994年には、挿絵を担当した小田野直武の出身地である...
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