先日「諸橋轍次博士」であげたDVD「諸橋轍次博士と『大漢和辞典』」によって、この辞典の完成には、もう一人、きわめて重要な役割を果たした方がいらっしゃった事実を知りました。石井茂吉氏(1887~1963)という発明家にしてタイポグラファー、そして事業家です。
さっそく僕は、「日本の古本屋」で石井茂吉伝記編纂委員会編『石井茂吉と写真植字機』(写真植字機研究所 1969年)を求めて読み始めました。島田寛という方が書いた文章は平易にして流れるごとく、一気に読了するとともに、石井氏の偉大な功績と血のにじむような努力、また人間としてのすぐれたあり方を、はじめて知ったのです。
明治20年、東京の王子に生まれた石井氏は、東京帝国大学機械工学科を卒業すると、すぐ神戸製鋼所に入社しました。
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