2019年3月31日日曜日

静嘉堂文庫美術館「春のコンサート」4


すでにアップしましたように、先日『朝日新聞』の声欄に、浅井洋子さんという愛知県に住む80歳の主婦の方が、「誰でも口ずさめる歌があれば」と題して投稿されていらっしゃいました。「川の流れのように」が登場するとてもいい文章だったので、一部を紹介することにしましょう。 

私は昨年8月に亡くなった夫とともに、同年代でもある美空ひばりさんの歌に生きる力をもらってきました。夫の病室で「川の流れのように」のCDをかけると、点滴をして眠ってばかりのように見えた同室の患者さんが反応して目を開けました。何か共有できた思いでした。

このような日本の曲がとくに心にしみたのは、もちろん僕が日本人だからでしょうが、木管楽器が日本の曲にとてもふさわしいからだったような気もします。金管楽器とは異なって、やわらかく落ち着いた音色、そしてときどき哀感を帯びる音の調子が、日本の童謡や歌謡曲にピッタシカンカンだという風に感じられたのです。これが金管五重奏だったら――金管五重奏というものがあるのかどうか知りませんが、こうはいかなかったでしょう。

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