2019年1月27日日曜日

不倫文化論5


 さて、「一盗二婢三妓四妾五妻」という熟語が『断腸亭日乗』にあることは、ネットのお陰で確かめることができました。もっとも、これは岩波版『荷風全集』が採用した『断腸亭日乗』原本にあるのであって、荷風が生前公刊した中央公論社版『荷風全集』などでは、「一盗二婢三妓四妾」と、「五妻」がカットされているそうです。

また、「下女正江」が「家政婦まさ江」に改められていることも、岩波版の脚注が教えてくれますが、これらは公刊に際し、世間を憚った荷風がみずから手を加えたものにちがいありません。

それはともかく、「古人の言」とあって、荷風以前に古くから言われてきた俗諺であることが明らかなわけですが、残念なことに、その出典を知ることができません。漢字を10字並べただけですから、中国由来の熟語みたいに思われます。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿

渡辺浩『日本思想史と現在』12

  そのとき『君たちはどう生きるか』の対抗馬 (!?) として挙げたのは、色川武大の『うらおもて人生録』(新潮文庫)でした。京都美術工芸大学にいたとき、『京都新聞』から求められて、就職試験に臨む受験生にエールを送るべくエッセーを寄稿したのですが、本書から「九勝六敗を狙え」を引用し...