2018年12月24日月曜日

イセ・ベトナム・シンポジウム「現代アートと伝統」18




社会的にみても、共通点が少なくありません。第一に、もともと母系社会であり、中華文明や儒教を学んでから家父長制になったとはいえ、母系社会の基盤が破壊されることはなかったという点で共通しています。日本については、これまで「饒舌館長」でしばしば指摘してきたとおりですが、ベトナムもよく似ています。

先の『アジア読本』に載るファン・フイ・レー「家族と家譜」とズオン・ラン・ハイ「母子関係の伝統と現在」が、ベトナムの場合をよく伝えてくれています。ベトナムのよく知られた次のことわざは、それを象徴するものにほかなりません。

父の功は泰山の如く、母の義は流れ出る水の如し。

夫婦の絆は東シナ海の水も干す。

じいさんの命令はばあさんの鐘より劣る。

初めは父母や夫婦が同じ地位にあることを暗示していますが、最後は爺さんよりも婆さんの方が偉いとなっちゃっています。

0 件のコメント:

コメントを投稿

渡辺浩『日本思想史と現在』7

しかし渡辺浩さんは、先行研究が指摘した二つの点について、高橋博巳さんの見解が示されていないことが、やや残念だとしています。その先行研究というのは、大森映子さんの『お家相続 大名家の苦闘』(角川選書)と島尾新さんの『水墨画入門』(岩波新書)です。 僕も読んだ『お家相続 大名家の苦闘...