2018年4月12日木曜日

横浜美術館「ヌード」2


「僕の一点」は、本展覧会の目玉でもあるオーギュスト・ロダンの「接吻」です。これまたパンフレットには、「ロダン彫刻でもっともエロティック。大理石彫刻《接吻》日本初公開!」とあります。先に、単なるエロティシズム芸術として鑑賞することも許されると書きましたが、このキャッチコピーこそ、それを勧めているではありませんか(!?)

 さて「接吻」は、ダンテ『神曲』地獄篇に登場する女性フランチェスカ・ダ・リミニと、その不倫相手パオロ・マラテスタをイメージの源泉にした作品だそうです。1901年から1904年の3年間にわたって制作された作品らしい。

イギリスに在住していたアメリカ人で、ギリシア大理石彫刻の大コレクターであったエドワード・ベリー・ウォーレンが、1900年秋、ロダンに制作を依頼しました。しかしそのずっと前に、同じ構成の「接吻」がブロンズ像として制作されていました。

その後、1889年パリ万博に出陳された大理石像が作られました。これはリュクサンブール美術館を経て、現在パリのロダン美術館に収まっています。ウォーレンはこれとまったく同じに、もちろん同じく大理石で作ってくれと、ロダンに注文を出したのです。

0 件のコメント:

コメントを投稿

追悼 高階秀爾先生16

   総合司会の大高保二郎さんがみごとに〆れば、 2024 鹿島美術財団東京美術講演会もほぼ定刻に終了、会場を地下ホールに移して、コロナ明け初のレセプションとは相なりました。僕たちは高階秀爾先生の一日も早き快復を祈念しつつ歓談、杯を重ねましたが、 9 日後に幽明界を異にされるとは...