「僕の一点」は、本展覧会の目玉でもあるオーギュスト・ロダンの「接吻」です。これまたパンフレットには、「ロダン彫刻でもっともエロティック。大理石彫刻《接吻》日本初公開!」とあります。先に、単なるエロティシズム芸術として鑑賞することも許されると書きましたが、このキャッチコピーこそ、それを勧めているではありませんか(!?)
さて「接吻」は、ダンテ『神曲』地獄篇に登場する女性フランチェスカ・ダ・リミニと、その不倫相手パオロ・マラテスタをイメージの源泉にした作品だそうです。1901年から1904年の3年間にわたって制作された作品らしい。
イギリスに在住していたアメリカ人で、ギリシア大理石彫刻の大コレクターであったエドワード・ベリー・ウォーレンが、1900年秋、ロダンに制作を依頼しました。しかしそのずっと前に、同じ構成の「接吻」がブロンズ像として制作されていました。
その後、1889年パリ万博に出陳された大理石像が作られました。これはリュクサンブール美術館を経て、現在パリのロダン美術館に収まっています。ウォーレンはこれとまったく同じに、もちろん同じく大理石で作ってくれと、ロダンに注文を出したのです。
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