2017年12月16日土曜日

静嘉堂文庫美術館「あこがれの明清絵画」<書芸>1


 企画展「あこがれの明清絵画――日本が愛した中国絵画の名品たち」は、NHK「日曜美術館」アートシーンをはじめ、多くのメディアで取り上げられ、人気沸騰中です!! すでに終わった京都国立美術館「国宝展」や、東京国立博物館「運慶展」にはちょっと及ばないかもしれませんが……。いよいよ残り2日、ぜひお見逃しなきよう、「饒舌館長」でも改めて取り上げることにしました。

この「あこがれの明清絵画」展では、明末清初の書芸も堪能していただこうと思いました。これは当然のことです。中国では古来「書画一致思想」が強かったからです。もちろん、明清の時代にも受け継がれていました。たとえば、明末の四大家とたたえられる邢張米董、つまり邢侗、張瑞図、米万鍾、董其昌は、みな書家にして画家、画家にして書家だったんです。

そこで、書芸作品を中心に、画賛も加えて、例の戯訳を試みてみました。この戯訳を読んでから書幅を鑑賞し、画幅をながめれば、日本人にとって若干敷居の高い明清の書画が、ちょっとは親しみやすくなるかも(!?)

徐霖「菊花野兔図」
 泰・衡・崋・恒・崇――五嶽 登り巡っていとまなし
 足を休めて山中に 籠もれば暇もできるのに……
 わずかな時間を惜しむのは 大きな夢があるからさ
 一生懸命努力して 挙げたいものだ 文名を

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サントリー美術館「NEGORO」9

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