2017年4月11日火曜日

奈良国立博物館「快慶展」3


たくさんの招待客とともに歩を進めれば、やはり快慶こそ、もっともストレートに日本を象徴する仏師であることが、おのずと感得されます。垂直に天へ伸びる樹木という素材に由来する静謐感が、極限まで推し進められているからです。僕が勝手に名づけるところの「日本美術の素材主義」です!?

快慶も強いインスピレーションを受けたに違いない、天平彫刻にはあった写実的表現が、すぐれた典型美にまで昇華しているからです。鎌倉彫刻を特徴づける写実性が、快慶に欠如しているという見方が間違いであることは、改めて指摘するまでもありません。

飛鳥彫刻以来の伝統ともいうべき正面性は、これ以上求めることができないほどに強調されて、もうほとんど絵画といってもよい段階に達しているからです。もちろん、これは快慶を貶めているわけじゃありません。基本的に前方から礼拝する仏教彫刻において、フロンタリティは最も重要な美的要素であるといってよいのです。

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