また今年の秋季院展から選んだ「僕の一点」の作者・渋澤青さんが女性であることも驚きでした。その力強い画風から、男性とばかり思っていたので、真彦さんの言は意外でした。
じつに楽しく充実した一日となりました。東慶寺の井上大光禅師によると、仏事供養とはいえ50回忌というのはお目出度いことだそうですから、楽しかったといっても天上の画伯には許してもらえると思います。
文化庁長官をつとめた今日出海氏は、『前田青邨』<日本の名画15>(中央公論社 1979年)に寄せたエッセーにおいて、画伯を「平凡な非凡人」とたたえました。確かにそのとおりですが、同時に僕は「健康な近代的自我」をも感じずにはいられません。
「近代的自我」などというと、平凡な非凡人と矛盾するように思われるかもしれませんが、画伯の近代的自我は近代自画像の傑作である「白頭」(東京藝術大学蔵)に象徴されています。近代以前にはなかった意欲的な画題選択や、大胆な構図も近代的自我によって生み出されたものでした。

0 件のコメント:
コメントを投稿