その2年後、「ギッター・コレクション特輯号」として『國華』1406号が編集出版されました。最初から僕は、与謝蕪村の「夏景山水図」について書かせてもらうことに決めていました。もちろん蕪村が大好きな文人画家だったからであり、「夏景山水図」がとても興味深い蕪村画だったからです。
高士を訪ねようとする旅の尼僧が描かれているのですが、女性の訪隠図とはきわめて珍しい主題です。尾形仂先生は著書『芭蕉・蕪村』において、故郷喪失者となった蕪村の原点は、母が歌詠む遊女であったことだと推定しています。
僕は尾形先生の魅力的な蕪村観に寄り添いながら、この尼僧こそ、蕪村が追い求めた母の姿であったのではないかと考えたのです。『蕪村伝記考説』を著わした高橋庄次氏は、さらに進んでこれを「父母離別図」だと断じているのですが……。

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