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2025年12月17日水曜日

鎌倉国宝館「扇影衣香」8

 


すなわち国宝(現在の重要文化財)に指定されているこの図とは別個の一本であり、しかも指定外のものであるが、なにかの手違いで別本が国宝本にすりかわって国宝全集に出てしまったものらしい。しかし、凡作でも国宝全集に出た以上、それを国宝本と思い込んだ向きも少なくなかったにちがいない。

 

実はこういう自分もそのひとりであるが、これでは国宝本が従来正常の評価をうけえなかったことも不思議ではあるまい。国宝本のこの図が図録に掲載されたのは、昭和三十三年朝日新聞社から出版された『鎌倉の美術』が、はじめてではないかと思う。ついで三十六年の春、東京国立博物館の中国宋元美術展覧会に出陳され、ようやくその真価が一般に知られる機会にめぐり合わせたのである。 

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