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2025年8月8日金曜日

根津美術館「唐絵」8

 

 その山水はいわゆる辺角の景という構図になっています。画面の左上から右下に対角線を一本引いて、その左下に近景を描き、右上の余白に遠景を添えて遠近感を視覚化させています。

このような辺角の景は、中国・南宋時代の画院画家である馬遠や夏珪が好んで用いた構図法でした。ですから馬の一角とか夏の一辺とも呼ばれます。両者を一緒にしてバカ様式(!?)とか残山剰水ざんざんじょうすいという言い方もあります。「江天遠意図」の画家は、明らかにそれを取り入れていることが分かります。

いま「江天遠意図」の画家といいましたが、落款印章がないので、画家の名前は分かりません。しかし昔から「周文筆」と伝えられてきました。このほかにも周文筆とされる詩画軸はいくつかあるのですが、「江天遠意図」は一頭地を抜く出来映えを示しています。感情移入をやさしく誘ってくれる点で、とてもすぐれていると思います。

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