2025年2月21日金曜日

『芸術と社会』15

 

北澤さんは「『美術』受容史ノート」という副題をつけていますから、受容美術史研究の重要性を主張したのかもしれませんが、明らかに社会学的美術史と呼んでよい視覚が包摂されています。北澤さんへのオマージュは、かつてある拙文で捧げたことがあるように思いますが、いつか「饒舌館長ブログ」にもアップすることにしましょう。

今回ベンヤミンの名著『複製技術時代の芸術作品』<岩波現代文庫>を書架から引っ張り出し、改めて読んでみました。もちろん以前読んだときと同じく、難解晦渋にしてほとんど理解できませんでしたが、あえて独断と偏見でまとめれば、本書はベンヤミンが芸術と複製技術という二律背反の相克を、論理的に解決しようとして苦闘した軌跡の記述である――ということになります。高階先生、僕の見立ては間違っていますでしょうか?


0 件のコメント:

コメントを投稿

根津美術館「唐絵」4

   「唐絵」のもっとも重要な一ジャンルに「詩画軸」があります。かつて僕は美術雑誌『月刊 水墨画』に「河野元昭が選ぶ水墨画 50 選」という連載を続けたことがあります。そのとき現在遺っている詩画軸のなかで、制作年代の確定できる最初の作品「柴門新月図」(藤田美術館蔵)を取り上げ、詩...