2025年2月16日日曜日

『芸術と社会』10

 チョッと読んだだけでは、よく分らないでしょう。美学というのは、かくも難しい学問なんです。じつは学生時代、編者である竹内敏雄先生の講義を受講しました――美術史専攻の学生は美学の単位が必須だったからです。しかしほとんど理解することができず、当然成績は「可」でした( ´艸`) 

余談はともかく、『新潮世界美術辞典』にあるように、初め芸術社会学は社会学の一部門でした。つまり社会学者の仕事だったのです。しかし美術史研究者も、美術と社会の重要な関係に早くから気づいていたと思います。そのパイオニアはかのヤーコプ・ブルクハルトだったのではないでしょうか。「うまく隠れていた者こそ、いい生き方をした者だ」を人生のモットーとしたというブルクハルトが、それを実践しながら著わした名著があります。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿

根津美術館「唐絵」4

   「唐絵」のもっとも重要な一ジャンルに「詩画軸」があります。かつて僕は美術雑誌『月刊 水墨画』に「河野元昭が選ぶ水墨画 50 選」という連載を続けたことがあります。そのとき現在遺っている詩画軸のなかで、制作年代の確定できる最初の作品「柴門新月図」(藤田美術館蔵)を取り上げ、詩...