2024年4月16日火曜日

渡辺浩『日本思想史と現在』4

しかしここには、渡辺思想史学の特質が端的に示されています。それは洋の東西を自由に行き来する、ものすごい健脚ぶりです。広やかな視覚といってもよいでしょう。『日本思想史と現在』という書名になっていますが、日本に限定されることなく、その国境を越えてしなやかに抜け出ていくのです。だから読者はワクワクするんです。

その真骨頂は、「その通念に異議を唱える」のなかの「国号考」です。「日本国」という国号は、独立国として、恥ずべきものではないだろうかという疑問から話は始まります。「みずほのくに」をはじめとして様々な土着の名称があるにもかかわらず、この国号はもともと外国語であり、東方にあることを自認した「日本」とは、中華からみて東の周辺という意味だからです。

 

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