2024年4月25日木曜日

渡辺浩『日本思想史と現在』12

 

そのとき『君たちはどう生きるか』の対抗馬(!?)として挙げたのは、色川武大の『うらおもて人生録』(新潮文庫)でした。京都美術工芸大学にいたとき、『京都新聞』から求められて、就職試験に臨む受験生にエールを送るべくエッセーを寄稿したのですが、本書から「九勝六敗を狙え」を引用したので、よく覚えていたんです。そのあと鷲田清一さんが、「折々のことば」に僕と同じくこの「九勝六敗を狙え」を選んでいたのでチョッと驚きましたが……。

『うらおもて人生録』の解説は西部邁すすむ先生でした。両書を象徴するような解説者のコントラストが実におもしろかったのですが、丸山真男先生と西部邁先生を一緒にしたら、やはり怒られちゃうかな(!?

 *「饒舌館長ブログ」では、鬼籍に入られた方のみ「先生」とし、お元気な方はひとしなみに「さん」でお呼びしています。渡辺浩さん、お許しください。


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