とくによく知られているのは「太白」里帰りの物語です。日本では絶滅していた幻のサクラ「太白」の穂木ほぎ――接木するための小枝を、イングラムは失敗を何度も重ねながら、ついにわが国へ送り届けてくれたのです。
しかし戦後、ふたたび「染井吉野植栽バブル」が起こりました。全国の自治体は、それぞれの大義名分のもとで、競うように染井吉野を植樹したのです。阿部菜穂子さんによれば、成長が早く経済的なこのサクラは、戦後の荒廃からいた早く立ち直ろうとした「新生日本」のシンボルとして、改めて都合よく使われたのです。
杉本さんには ホモサピエンス が絶滅に向って進化しているという、深い 読みがあります。いや、深い 諦観があります。 杉本さんは「太陽系が生まれて45億年という時間を1年に例えると、人類の文明時代1万年は、除夜の鐘がなる頃だ。……我々の文明も悠久の時間軸の中で、淀みに浮か...
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