仁科さんは俳人・宝井其角を登場させて、じつに愉快な推論を展開しています。その一つが其角の「頬摺やおもはぬ人に虫屋迄」という難解句の解釈です。詳細は『<生類憐みの令>の真実』をお読みいただくとして、「生類憐みの令と関連づけ、深読みして虫屋の句を解釈」した仁科さんは次のように結論を下しています。
其角は生類憐みの令に批判的だったが、あからさまに批判すれば、捕まってしまう。だからといって黙っていたら胸のつかえがおりない。いきおい生類憐みがらみの句はわかる人にしかわからない難解な句になる。
このような静嘉堂の社会的貢献――いまの言葉でいえばメセナとかフィランソロピーという視点も取り入れられています。単なる静嘉堂名品展ではありません。それは中心となってキューレーションを行なった学芸員・吉田恵理さんの功績です。 「僕の一点」は宮川長春の「形見の駒図」ですね。カ...
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