渡辺京二先生は名著『逝きし世の面影』に「生類とコスモス」の一章をもうけ、1859年来日、函館領事をつとめたクリストファー・ホジソンの夫人エヴァの体験から書き出しています。
ホジソン夫人は長崎で領事館にあてられた寺に落ち着いたが、朝起きてベッドから足をおろすと、足もと数インチのところに蛇がいた。彼女は悲鳴をあげ、召使を呼んで始末させたが、彼はその蛇をどうしても殺そうとはしなかった。またある日、蛇は客間に侵入して、とぐろを巻いた。先日の蛇とは別な奴だったが、そいつは「おれはもう一度やって来るぞ」といわんばかりに、彼女をにらみつけて立ち去った。そして「約束どおり」二、三日後の夜、エヴァの枕もとを滑って通りすぎた。
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