あくまで文人画家であった師・椿椿山の花鳥画様式を、新時代にふさわしい展覧芸術へバージョンアップしようとする幽谷の表現意欲が、画面の外へとあふれ出ているといった感じです。こういう場合、よく「会場芸術」という言葉が使われますが、チョット「催場芸術」みたいな響きが感じられます(笑) 饒舌館長は「展覧芸術」と呼んだ方がいいんじゃ~ないかなぁと思っています。
雌雄の鶏に雛を添えるのは、「闔家全慶こうかぜんけい」という迷語画題――ナゾナゾみたいな画題です。金井紫雲の『東洋画題綜覧』に「慶は鶏と字音が同じなので、一家の和楽を意味し、祝賀の画題として図せらるるもの多い」とある通りです。一家の平和安寧、家内安全を寓意する画題です。
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