2023年4月10日月曜日

板橋区立美術館「椿椿山展」8

 

 結句の「欵乃」は正しく書けば「欸乃あいない」で、八代亜紀の名とともに思い出される舟歌のことだそうです。いや、八代亜紀は「舟唄」だったかな?

椿山は「元人の詩を録す」と書いているので、さっそく中国の「詩詞検索」「中華詩詞網」で検索をかけてみました。すると今や、この七言絶句は謝応芳という人の詩であることが、たちどころに分かっちゃうんです‼ 謝応芳が元末明初に活躍した文人詩人であることも、彼の詩集『亀巣稿』に「江山漁楽図」と題して載っていることも……。

おそらく謝応芳が「江山漁楽図」を見て、この七絶を詠んだのでしょう。あるいは着賛したのかも? 画家の名はわかりませんが、たとえば元末四大家の一人・呉鎮にはこの画題の作例があったようです。椿山は『亀巣稿』を見てインスピレーションを得たのでしょう。



0 件のコメント:

コメントを投稿

出光美術館(門司)「琳派の系譜」9

   ここで改めてこの蓋の松をみると、 松原や 松林のごとく松の木をずっと描き並べてあるわけじゃなく、はっきりと左右に分かれていることに気づきます。それはまるで遠く離れた高砂の松と住吉の松に見えてくるではありませんか。 右側が高砂の松、左側が住吉の松ということになるでしょう。 少...