2023年4月8日土曜日

板橋区立美術館「椿椿山展」6

 

 もう一つ「僕の一点」に挙げたい椿山画があります――それは「江山漁楽図」です。士大夫のようにボスから命令されたり、みずからソンタクしたりすることなく、自由気ままに生きる漁師の生活に対する憧憬を表現した作品です。同じテーマを取り上げた作品に、池大雅の「漁楽図」(京都国立博物館蔵)があります。

この大雅作品と比較してみると、椿山画はかなり写実的というか、現実主義的です。それは様式においても、生活態度においても現実主義的であった関東文人画の特徴を、分かりやすく教えてくれるように思われます。

0 件のコメント:

コメントを投稿

皇居三の丸尚蔵館「近世の御所を飾った品々」7

  もっとも慶長 6 年といえば、友松が桂宮家に出入りし始めたころですから、挨拶代わりの自己紹介、ブッチャケていえば売り込み作戦だったかもしれませんが、これは友松のために言わないほうがよかったかな ( 笑 ) 当時智仁親王は弱冠 22 歳、千年の齢を保ちつねに緑を失わないトキ...