2023年2月12日日曜日

東京美術俱楽部「富士山 芸術の源泉」口演8

終ったあと、親しくお話しする機会があり、二つの点について畠掘さんの意見をうかがってみました。一つは今回マイベスト10の一つにも選んだ与謝蕪村筆「富嶽列松図」についてです。かつて僕は、前景の列松について三保の松原だと勝手に思い込んでいました。

しかしその後、静岡県富士山世界遺産センターで展示を拝見していたところ、これは三保の松原ではなく、千本松原とみた方がいいのではないかと思いついたんです。その後この推定を拙文「蕪村横物三部作試論」(『國華』1503号)にも書いてしまいました。この点を畠掘さんに確認すると、確かにその通りだというお答え――僕は「ヤッター」という気分になりました。

 

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出光美術館(門司)「琳派の系譜」8

この二つの松は、『万葉集』『古今和歌集』の二集にたとえられ、松の葉の栄えは和歌の言の葉の栄えを意味し、つまりは天下泰平の象徴だというのである。 老人はなお松の徳をさまざまに物語り( クセ )、自分たちこそその松の精だと名を明かし、先に住吉へ行って待っていると言い残して小舟で 沖 ...