僕は「このような傑作が海を渡ってしまうことを、少し残念に思う気持がまったくなかったわけではないけれども、自己の美意識にのみ忠実に収集を続けるジョウ・プライス氏に末永く愛されることになったこの屏風は、ふたたび幸せな環境に戻ったというべきであろう」と書き出しています。
しかしそれがふたたび里帰りし、しかも永住の地・出光美術館に収められたわけですから、僕の少し残念に思う気持が天に通じたにちがいありません(笑)
その蓋表に、金泥、銀泥、白彩 、呉須 をもって、松が絵付けされています。「光琳松」と呼ばれる単純化された松の形 ――チョッとクラゲを思わせる形は、日本絵画の特徴ともいうべきシンプリシティーの極致だといって もよいでしょう。 それを頭に乗せた松全体のフォルムが、とてもやさしい こと...
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