2022年12月27日火曜日

鈴木其一筆「風神雷神図襖」5

 


風神雷神というモチーフは、俵屋宗達から尾形光琳へ、さらに酒井抱一へと継承され、琳派の正統性を証明する家紋のような役目を担ってきました。其一もみずからこれを描くことによって、その系譜に連なろうとしたのでしょう。

其一は師の抱一ではなく、光琳の彩管になる東京国立博物館所蔵の「風神雷神図屏風」をもとにしたらしい――両神の描写からそう推測することができます。これが通説だといってもよいでしょう。しかし『光琳百図』に載るような光琳の別本があって、それによった可能性もないではないというのが饒舌館長の見立てです。

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出光美術館(門司)「琳派の系譜」9

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