2022年12月25日日曜日

鈴木其一筆「風神雷神図襖」3

 

「祝琳斎其一」の落款が、明らかに光琳の落款をまねたものである点に、其一の光琳へのなみなみならぬ私淑の態度が見られる。ただし絵は光琳や抱一のそれと異なり、灰味がかった独特の色調や肉身の隈取り、妖気を感じさせるような不思議なたらし込みなどによって、いかにも其一画らしいものとなっている。宗達に始まる「風神・雷神図」の闊達な世界の変貌の極みともいうべき終着点がここにある。

 辻惟雄さんの驥尾に付して、拙論「鈴木其一の画業」を『國華』1067号(1983年)に寄稿したのですが、もちろんこの襖絵にも言及せずにいられませんでした。今回の拙論には「しかしその後、実地調査を行なう機会もあったので、改めて國華アーカイブに登録しておこうと考えた次第である」なんてチョット格好をつけましたが……()


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