2022年9月3日土曜日

富士山世界遺産センター「与謝野晶子と富士山」6

 

佐々木信綱は、「人心に害あり世教に毒あるものと判定するに憚らざるなり」「娼妓、夜鷹輩の口にすべき乱倫の言を吐きて淫を勧めんとする」と口をきわめてけなしたそうです。

もっとも、渡辺淳一氏の『君も雛罌粟こくりこわれも雛罌粟 与謝野鉄幹・晶子夫妻の生涯』(文藝春秋 1996年)によると、この酷評は『心の花』に載った合評会における「蘇張生」なる人の発言で、信綱とは断定できないようです。しかし『心の花』は、信綱が主宰する短歌雑誌でしたから、信綱が『みだれ髪』に批判的であったことは疑いないでしょう。 

ところが1世紀近く経って、信綱の孫にあたる佐々木幸綱さんのもとから、晶子と同じく恋を歌って若い人から圧倒的支持を受けた口語短歌のスター・俵万智さんが誕生したんです。じつに愉快じゃ~ありませんか。


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