2022年9月26日月曜日

与謝野晶子私論22

(正岡)子規子は集むるよりも寧むしろ選ばんと欲し、彼(鉄幹)は選ぶに遑いとまあらずして大おおいに喚さけび大に致す、故に子規の事業が時間的に永からんとするに反して、彼が事業は空間的に大ならんとす。

今の世詩人文人、凡庸の頭顱とうろ累々、桝ますを以て量はかるべし、その中より天才を求むれば、散文家として泉鏡花、韻文家としては鳳晶子の二人あるのみ。

鉄幹と晶子の詩を比ぶるに、似たもの夫婦の関係にあらずして、乳兄弟の関係にあり。四季中晶子は最も春を愛し、鉄幹は最も夏を愛すといふ。要するに二人の詩は積極的なり。……秋旻しゅうびんより悲哀を看取せざるところ、彼等が楽天的なる所以ゆえんにして、東洋詩人としては愈いよいよ珍しといふも是に在り。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿

ブータン博士花見会4

  とくによく知られているのは「太白」里帰りの物語です。日本では絶滅していた幻のサクラ「太白」の穂木 ほぎ ――接木するための小枝を、イングラムは失敗を何度も重ねながら、ついにわが国へ送り届けてくれたのです。 しかし戦後、ふたたび「染井吉野植栽バブル」が起こりました。全国の自...