2022年4月13日水曜日

佐藤康宏『若冲の世紀』6

実は、辻惟雄さんが立ち上げた科学研究費プロジェクト「江戸時代絵画における中国影響の研究」に加えてもらい、東北地方を調査して回ったとき、秋田市に住む個人のお宅で、僕もこの蕭白画を拝見していたんです。しかし、蕭白でなくても描けそうな破墨山水図だったので、忘れるともなく忘れちゃった作品でした。

佐藤さんが賛者同定を行ない、『藤酊斎先生詩集』から「蕭白道人に画を請いて贈る」を見つけてくれなかったら、1772年という制作年の判明する一蕭白画として終っていたことでしょう。

 この間、NHK文化センターの青山アカデミー講座で曽我蕭白を取り上げたとき、佐藤さんの功績を紹介するとともに、この七言古詩のマイ戯訳を載せた配布資料を作りました。もちろん『若冲の世紀』を「饒舌館長おススメ本」として紹介させてもらいました。コロナのため受講生も少なく、宣伝効果はあまりなかったと思いますが() 最後に、そのマイ戯訳をアップさせてもらうことにしましょう。 

0 件のコメント:

コメントを投稿

ブータン博士花見会4

  とくによく知られているのは「太白」里帰りの物語です。日本では絶滅していた幻のサクラ「太白」の穂木 ほぎ ――接木するための小枝を、イングラムは失敗を何度も重ねながら、ついにわが国へ送り届けてくれたのです。 しかし戦後、ふたたび「染井吉野植栽バブル」が起こりました。全国の自...