日本画と西洋画ともに歴史画が大流行するのは、実のところ、明治20年代に入ってからのことです。それは西欧化に対する反省が沸き起こってくる時期でもありました。これに10年ほど先駆けて、芳年が「大日本名将鑑」を描いた事実にも、とても重要な意味があるように感じられます。
芳年が持ち前の鋭敏な感覚で、歴史画の流行を予見したのでしょうか? まったくなかったとは言えませんが、浮世絵の伝統をより一層重視すべきでしょう。浮世絵にはこのような歴史画シリーズがたくさんあったからです。
何より、師の国芳に「通俗水滸伝豪傑百八人之壱個」という傑作がありました。「武者絵の国芳」としてブレークする契機となった揃い物です。
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