2022年3月31日木曜日

月岡芳年「大日本名将鑑」10

 

また「大日本名将鑑」に先立って、芳年は明治10年、たくさんの西南戦争錦絵を発表しています。これこそ歴史画ですが、その人気だけを当て込んだような作り方は、完全に浮世絵だといってよいでしょう。

国家意識とまったく関係のない浮世絵の伝統から、歴史画「大日本名将鑑」が生まれている点がとても興味深く感じられます。しかしこれが浮世絵ではなく、歴史画であることは、「大日本」というタイトルに象徴されています。しかも菅原真弓さんによると、「ダイニホン」じゃ~なく、「ダイニッポン」と読むのが正しいようです。

明治時代の日本人は歴史画を求めました。それが歴史画の流行を生んだことは間違いありません。その理由を求められるなら、模範解答は近代国家意識の誕生と高揚ということになるでしょう。

0 件のコメント:

コメントを投稿

追悼シンポジウム「高階秀爾館長と大原美術館」3

   すでに2回予告を行なった 大原芸術財団主催 「追悼シンポジウム『高階先生と大原美術館』」が、先生の祥月命日である10月17日、 夕方5:30から倉敷公民館大ホールで開催されました。キーノートスピーチと司会は、高階先生の跡を継いで大原美術館館長をつとめている三浦篤さん、パネリ...