2022年3月28日月曜日

月岡芳年「大日本名将鑑」7

 

芳年の「天照大神」は、天照大神が天岩戸に隠れたため、この世が真っ暗になったという神話をたくみに表現しています。あるいは、明るい近代国家を創設することに成功した、明治日本の表象ともなっているという見方もあるようです。

しかしそれだけではなく、芳年の何となく暗い、疑心暗鬼にも似た心理も、その暗闇に反映されているように思います。それは近代化、つまり西欧化への懐疑です。

それが天照大神を描きながら暗い画面となっている理由ですが、登場人物の背後に西洋女性の笑っているような顔が煙となって現れていることは、とても興味深いと思います。西欧化への漠然とした不安がそれとなく現われたのだ――なんて言ったらこれまた言い過ぎかな?

0 件のコメント:

コメントを投稿

ブータン博士花見会4

  とくによく知られているのは「太白」里帰りの物語です。日本では絶滅していた幻のサクラ「太白」の穂木 ほぎ ――接木するための小枝を、イングラムは失敗を何度も重ねながら、ついにわが国へ送り届けてくれたのです。 しかし戦後、ふたたび「染井吉野植栽バブル」が起こりました。全国の自...