2021年9月9日木曜日

火酒14

 

そのうちの1点が、豪華図録『ザ プライスコレクション』(小学館)に紹介されています。解説を担当するのは、去年「饒舌館長」に『水墨画入門』(岩波新書)へのオマージュをアップしましたが、その著者・島尾新さん――この絵の魅力をお馴染みの島尾文体で熱く語っています。この秀作も出光美術館に入ったプライス・コレクションのなかに含まれているにちがいありませんから、間もなく皆さんも実見することができるでしょう。

日本では10年ほど前、鳥取県立博物館で特別展「因幡画壇の鬼才 楊谷と元旦」が開催され、広く画名が知られるようになりました。僕はそのカタログを見ただけですが、楊谷の細かい毛描きの妙に、妙に心を動かされました() その楊谷は酒仙画家であったようで、愛用する澤田章編『日本画家辞典』には、次のようなエピソードが伝えられています。

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出光美術館(門司)「琳派の系譜」8

この二つの松は、『万葉集』『古今和歌集』の二集にたとえられ、松の葉の栄えは和歌の言の葉の栄えを意味し、つまりは天下泰平の象徴だというのである。 老人はなお松の徳をさまざまに物語り( クセ )、自分たちこそその松の精だと名を明かし、先に住吉へ行って待っていると言い残して小舟で 沖 ...