2021年8月2日月曜日

徐寅・夏の詩10


徐寅「貢余秘色茶盞」

 翠[みどり]と青が融合し みごとな色合い新しく

 窯から出し立ていただいた 君が贈ってくれた杯[はい]

 巧みな陶技 名月を 映す春方[はるべ]の水のよう

 チョット施す薄氷[うすらい]の 釉は緑の雲のよう

 錆びを磨いたいにしえの 鏡が机に乗っており

 若い蓮花が露に濡れ 池からここへ来たようだ

 かの中山[ちゅうざん]の濁り酒 これに注げば香り立つ

 だが悲しいなぁ!! 病気持ち 呷[あお]ることなど出来やせぬ  

0 件のコメント:

コメントを投稿

渡辺浩『日本思想史と現在』12

  そのとき『君たちはどう生きるか』の対抗馬 (!?) として挙げたのは、色川武大の『うらおもて人生録』(新潮文庫)でした。京都美術工芸大学にいたとき、『京都新聞』から求められて、就職試験に臨む受験生にエールを送るべくエッセーを寄稿したのですが、本書から「九勝六敗を狙え」を引用し...