2021年7月10日土曜日

三菱一号館美術館「三菱の至宝展」11

 

しかし中国の作品からも「僕の一点」を選ばなければ、中国美術を愛して止まなかった弥之助・小弥太に失礼でしょう。そこで張瑞図の「松山図」です。張瑞図は明末奇想派を代表する文人画家で、この作品は杜甫の「七月一日 終明府の水楼に題す」という七言律詩からインスピレーションを得て描かれた傑作です。

山水図なのに、ある動物が大きく――しかしそれとは判らないように描きこまれています。目を凝らして探してみてください。判りましたか? 賛の下に、シッポを立てて松の木を威嚇しているような、大きな猫が見えてくるでしょう。これこそヤマネコです()


0 件のコメント:

コメントを投稿

渡辺浩『日本思想史と現在』8

  渡辺浩さんの『日本思想史と現在』というタイトルはチョッと取つきにくいかもしれませんが、読み始めればそんなことはありません。先にあげた「国号考」の目から鱗、「 John Mountpaddy 先生はどこに」のユーモア、丸山真男先生のギョッとするような言葉「学問は野暮なものです」...