2021年4月8日木曜日

三谷幸喜さんと銭湯10

 

 その伝統的な要素として、植物的な食体系、柱立ちの建物、卜甲・卜骨、お箸などを挙げたあと、あまり注目されていないものとして、居眠り、肩こりに言及します。そして最後にトイレ羞恥心を指摘し、つぎのように述べています。

トイレに入っているのが恥ずかしいと思うのが日本文化。私の勤め先で、大きい方に入って、終って出ようと思うと人が入ってくる気配がする。恥ずかしくて出られない。これは私だけではないでしょう。ところが中国に行ったらば、トイレの扉がない。扉があっても開けっ放しで平気でいる。これはアメリカの二、三流のデパートでもそうだし、ソ連の空港でもそうだし、ドイツの炭鉱でもそうですね。へだてのない共同便所は、ギリシャ・ローマ以来です。だから、トイレの恥ずかしさも我々の獲得した文化なのです。

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