2020年10月14日水曜日

葛飾北斎『万物絵本大全図』大英博物館蔵3

しかし、その年の項には何も書かれていませんでした。何らかの理由で出版にいたらず、版下絵のまま伝わってきたために、かの永田さんも知ることがなかった大発見であるということになります。

文政12年、北斎は古希の70歳に達していました。僕は北斎の画歴を6期に分け、60歳代を充電期としています。60歳代は70歳代の錦絵期、80歳代の肉筆期へのエネルギーを蓄えていた時期でした。還暦を過ぎたころから70歳代の初めにかけ、北斎は色々な出来事に遭遇し、じっくり創作へ向う時間が限られていましたが、かえってそれが充電期にプラスとなったように思います。『葛飾北斎年譜』からピックアップしてみましょう。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿

渡辺浩『日本思想史と現在』8

  渡辺浩さんの『日本思想史と現在』というタイトルはチョッと取つきにくいかもしれませんが、読み始めればそんなことはありません。先にあげた「国号考」の目から鱗、「 John Mountpaddy 先生はどこに」のユーモア、丸山真男先生のギョッとするような言葉「学問は野暮なものです」...