2020年8月30日日曜日

諸橋晋六『不将不逆』5



小学校でも中学校でもがき大将だった。もちろん通信簿は良くない。五、六歳から四書五経を読み始めた父にとっては不肖の息子に違いない。それでも「勉強しろ」とは一度も言わなかった。
 じつは僕も、この「将らず逆えず」を人生訓にしてきました。というのは、僕が親爺からただ一つ聞いた人生訓がこれだったからです。親爺は町医者をやっていましたが、天性の楽天主義者というか、人生楽しいことが一番だといった風で、「快食 快眠 快通」と書いた紙がいつも部屋に貼ってありました。
ですから、子どもにあぁしろとか、こうしろとか言ったことはありませんでした。ましてや、真面目な顔で人生訓を垂れるなどということは、絶えてありませんでした。

0 件のコメント:

コメントを投稿

三井記念美術館「円山応挙」6

  しかしカタログには、興味深い異なる説が紹介されています。木賊は漆や木製品の研磨に用いられるところから、和歌などにおける修辞で、しばしば光り輝く月と結びつけられるというのです。僕は単に謡曲から推定しただけでしたが、もっと具体的な関係があったことを知って、とてもうれしく感じました...